医療・介護・福祉事業の運営母体の違い

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社会福祉法人、医療法人、株式会社などの違い

介護施設の求人を見ていると、「社会福祉法人」や「医療法人」「株式会社」など、複数の運営法人が出てきます。

法人の違いによって運営の目的や特徴などが異なりますので、その違いを理解しておくことは重要です。

今回は介護施設の運営母体となる法人の違いについてお話しします。

 

 

社会福祉法人

福祉を目的とした事業を営んでいる法人です。

社会福祉法に基づき、保育や医療、介護などの社会福祉事業を行うために設立された非営利法人です。

設立には事業所のある所在地の自治体による認可が必要で、法人が行う社会福祉事業の内容についても定められています。

税制面であらゆる優遇が受けられることに加えて、特別養護老人ホームのように社会福祉法人にしか運営を認められていない施設の運営もできます。ほかに、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど幅広く運営しています。

 

特徴

待遇面が良い

公務員扱いになる地方公共団体を除く介護に関連する法人のなかでは、社会福祉法人が最も平均給料が高くなります。

医療法人と比較すると月2万円近くの差があります。年間20万円以上の差になりますので、非常に大きな差といえます。

技術や知識を学ぶ機会が多い

特別養護老人ホームのように社会福祉法人しか運営できない施設に加え、デイサービスやグループホームなど、さまざまな施設を運営しているところもたくさんあります。

法人によっては運営している施設間で人事異動を行っているところもあります。このような法人であれば、わざわざ転職せずとも施設形態別に異なる介護方法を学ぶこともできるでしょう。

勤続年数も他の法人に比べて長くなる傾向があり、社会福祉法人の平均勤続年数は8.6年となっています。

10年を超えるベテラン職員もそれだけ多い環境であるため、介護技術や知識を得やすく初めて介護士として働く場合でもしっかりと技術を身につけられるでしょう。

また、社会福祉法人の中には、地域に根ざしている法人が多いのも特徴です。地域内の他の施設と連携しながら地域ケアについて考える機会も多く、施設内だけにとどまらない体験を積むことができます。

 

こんな方が向いています

安定して長く働きたい方

平均給料が他の法人と比べて高く、福利厚生の面でも他の法人よりも優遇されている施設も少なくないので、安定した収入を求める人にとっては、満足できる条件の職場も少なくはないでしょう。

また、社会福祉法人は税制上の優遇措置が受けられるため、比較的経営状況が安定しています。

倒産やリストラなどが起こらない安定した労働環境と待遇面を重視する人に向いているでしょう

介護士としてスキルアップを目指す方

社会福祉法人が運営する施設で働く場合多くの施設形態で学ぶことができ、経験を積んだベテランの職員が多いため、自然と知識やスキルを習得することができます。

さらに、特別養護老人ホームなどでは要介護度の高い利用者さんが多く、おむつ交換や移乗、食事介助のような介助に入る機会も多くなるため、高度な身体介護のスキルを求められます。

入所者の身体状況や疾患に合わせた対応方法を学ぶこともできるため、介護職として知識や技術力を高めたいという人にはピッタリの環境といえます。

 

 

医療法人

医療法の規定に基づく法人で、医師や歯科医師が常勤する診療所や病院、クリニックのような医療を主とする施設の運営を目的とする法人です。

社会福祉法人同様に非営利の法人であり、都道府県の認可を得なければ設立できず、法人税法上の公益法人に該当するため、税制面であらゆる優遇措置を受けることができます。

医療法人が運営している介護施設のなかには、介護老人保健施設やデイケアなどがあります。

介護だけでなく医療も同時に行えるため、退院後のリハビリなどを目的とした方が利用しています。

 

特徴

医療法人で働く介護士の給与は社会福祉法人には劣るものの、営利目的の企業と比べると3万円程度高く待遇面での良さが特徴として挙げられます。

これは、介護のみならず医療も行うことで事業所全体の収入が高額になる一方で、医療設備などへの費用が必要になるため、社会福祉法人と比べ、給与がやや下がってしまうことが考えられます。

また、介護老人保健施設やデイケアなどの事業所は、基本的に在宅復帰を目指す施設であることも特徴のひとつです。

亡くなる以外に利用者さんが退所することもあり、病院と同じように目標のあるケアができます。

 

こんな方が向いています

医療やリハビリの知識を学びたい方

医療法人が運営する介護老人保健施設やデイケアはリハビリや治療を目的とした施設(事業所)です。

そのため、医師や看護師、理学療法士や作業療法士などと関わるため、必然的に介護にも活かせるような医療やリハビリに関する知識・技術が身につきます。

医療やリハビリのノウハウを学んで介護士として幅広いスキルを身につけたい人が向いている職場といえるでしょう。

また、利用者に対して介護職以外の専門職による、異なる角度からのアプローチも可能となりますので、そこからも数多くのことも学べるでしょう。

コミュニケーション能力が高い方

また、日々の業務の中では、医師や看護師だけでなく、ケアマネジャーや帰宅後に利用するサービスの担当者など幅広い職種の方と接します。

自分とは異なる意見を受け入れながら、介護士としての自分の意見をきちんと伝えられるコミュニケーション能力を持った方も向いているといえるでしょう。

安定した収入を望む方

前述したように、医療法人で働く介護士の給与は営利目的の民間企業と比べると高い傾向にあります。

なかでも医療法人運営の介護老人保健施設は、地方公共団体を除く社会福祉法人が運営する介護老人保健施設の平均給料よりもわずかではありますが、給与が高い水準になります。

収入面の安定を望んでいる方にはピッタリです。

 

 

株式会社

介護業界における株式会社は、一般の企業と同じように営利を目的とする組織です。

事業所の設備や体制などは法律の縛りを受けますが、法人の設立や目的などは自治体の縛りは受けず、比較的自由な事業展開が可能です。

株式会社が運営している施設は、デイサービスやグループホーム、住宅型・介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などです。

複数の形態の施設を運営していることも珍しくなく、全国に事業所を抱え、グループ全体で1,000人以上の従業員がいる法人も多数存在します。

差別化のために非営利法人とは異なるサービス展開をしており、多様なサービスが求められています。

 

特徴

介護職の給料は、施設を運営している法人の規模によっても変わります。

例えばデイサービスや訪問介護事業所は、従業員数が少ない場合と多い場合(訪問介護事業所はサービス提供回数が少ない場合と多い場合)では、給料が月額2万円以上の差が生じています。

株式会社が運営しているデイサービスや訪問介護事業所は、全国的に展開していることが多く、事業規模が大きい事業所ほど高額な給与が期待できます。

さらに、高所得者向けの事業所では利用料も高額になることで、より高い給与をもらうことも可能です。

数百人規模で従業員を抱えている大きな施設や事業所では、従業員数に比例して経験年数が長いベテラン介護士も多くなります。

ベテラン介護士と共に働いていると、おのずと高い技術や知識を学べるのはもちろん、身体介護の割合が少なく自立度の高い事業所の場合は、マナーや接遇など介護技術以外の能力を学ぶこともできます。

また、株式会社は全国規模で新事業所の立ち上げを行いやすいというメリットがあります。

新規事業所の立ち上げには人材が必要です。特に管理職に関しては、安心して仕事を任せられる人を置かなければ事業に失敗する可能性もあります。そのため、ある程度現場の経験がある人を求められます。

また、規模が大きいということは、それだけ幹部の席が多く用意されているということであり、数に比例して退職者も出やすくなります。

管理職に退職者が出れば、早急にその穴を埋めるため、現場スタッフに管理職昇進の声がかかることもあります。

つまり、大規模な株式会社系列の施設では、それだけ管理職になるチャンスがあるといるということです。

 

こんな方が向いています

安定した収入を求める方

大規模に事業展開をし、従業員を多く抱える株式会社系列の事業所は給料が高くなる傾向にあります。高い給与を求めて職場を探している場合、株式会社運営の施設や事業所はおすすめです。

役職者を目指す方

株式会社は全国規模で事業を展開することができ、それに比例して管理職もたくさん必要になります。

管理職として昇進する可能性も高くなるため、管理職を目指している方にとっては株式会社系列の施設や事業所はピッタリです。

また、全国で事業を展開している場合はキャリアアップにともなう転勤の可能性もあります。

そのため、転勤などがあっても対応が可能な方のほうが向いているでしょう。

介護職未経験の方、スキルを向上したい方

大手の株式会社では研修体制が整っており、未経験から介護士をはじめる場合でも安心して業務に必要な知識や技術を身につけられます。

就業後も社内研修・外部研修などが充実していることも多く、業務に慣れてからもスキルを磨くチャンスがあるので、社内制度を活用してステップアップしたい人は株式会社が向いているでしょう。

さらに、高級志向の事業所では接遇面でのスキルが必要になるため、利用者さんとの基本的な接し方も身につけられます。

ただ、事業所内でのキャリアアップ制度が介護士としてのキャリアアップにつながらないこともあるので、どのように自分の技術を磨いていくのかを考えておく必要があります。

 

 

 

有限会社・持分会社(合資会社、合同会社、合名会社)とは

「有限会社」は現在の会社法では会社として認められておらず、株式会社のひとつである「特例有限会社」になっています。そのため、「有限会社」は平成18年以前に設立された会社しか存在しません。

「持分会社」は会社設立の出資者自らが会社を運営しており、出資者と経営者が分かれていないことが株式会社との違いです。

そのため、経営者が会社の働き方などを自由に決められ、時代に適合した仕組みづくりが行いやすくなっています。

 

特徴

職員の意見が反映されやすい

有限会社や持分会社は小規模で運営している介護施設が多いため、それだけ職員とトップである社長との距離が近くなります。

なかには社長やその親族が現場で働いている施設もあるでしょう。このような環境であれば、スタッフの意見を直接トップに伝えることができます。

そのため、現場の意見がすぐに反映されやすいという特徴があります。

腰を据えて長く働ける

有限会社や持分会社によって運営されている施設は小規模なものがほとんどです。

そのため、転勤の可能性はほとんどないと考えていいでしょう。

 

こんな方が向いています

自分の意見を反映したい方

有限会社や持分会社はトップとの距離感が近いため、従業員の声を伝えやすい環境にありますので、自分の意見を提案し、より良いサービスや働きやすい職場を作り上げたい人に向いています。

細かな改善点に気づく視野の広さや、積極的にさまざまな提案をしていきたい方はスピーディーに対応してもらえることも多いため、やりがいを感じるでしょう。

生活拠点を変えたくない方

有限会社や持分会社は小規模な企業のため、転勤で遠方に引っ越さなければいけないことがほぼないといえます。

家族と離れたくない、今住んでいるところが気にいっているという方は有限会社や持分会社の事業所が向いています。

 

 

最後に

事業所を運営している法人格はさまざまなものがあり、事業体系や目的、特徴、働き方や待遇面などが異なります。しかし同じ法人の中でも、そこで働いている人や会社の方針で、今回紹介した特徴と大きく異なる法人もあるかもしれませんので、転職の際に法人の違いだけで選んでしまうと後悔してしまうことがあります。

それぞれの施設、事業所の仕事内容や担当する業務の範囲などを、しっかりと見比べることも大切です。

さらに、介護に対する考え方やサービス提供についての理念などに共感できるかは、働いていくうえで重要なポイントです。忘れずにチェックしましょう。

今回紹介した内容はあくまでも参考程度にとどめ、自分のやりたいことに合う施設、事業所を見つけるようにしましょう。

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