特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホーム(特養)とは公的な入居型の介護老人福祉施設のことで、社会福祉法人や地方自治体が運営しています。
要介護度が3~5の方が身体介護や生活支援を受けて居住する施設となり、終身利用できる介護施設です。
ひとくちに特養といっても、入所条件や居室形式によっていくつかのタイプに分かれています。
それぞれの条件や職員の仕事内容などを紹介します。
特別養護老人ホームの特徴
身の回りのことができない、理解力が低下しているなど在宅での生活が困難で、常時介護が必要な高齢者の方が入居しています。
また、特養では終末ケアや看取りを行う点も大きな特徴です。
入居費用が比較的安いため入居希望者が多く、地域によって差がありますが、長い場合は数ヶ月〜数年間に渡って待機することもあります。
特養の医療体制は必要最低限であることが多いので、より医療設備の整った施設への転居が必要になることがあります。
特別養護老人ホームのタイプ
特養には、その特徴に応じて「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つに細分化されます。
また地域密着型特別養護老人ホームは、さらに「サテライト型」と「単独型」に分けられます。
広域型特別養護老人ホーム
定員が30人以上で居住地域に制限がない、最も一般的なタイプの特養です。
地域密着型特別養護老人ホーム
員が29人以下で、設置されている市区町村の居住者のみが入所できる特養です。
サテライト型特別養護老人ホーム(サテライト型居住施設)
地域密着型特養のひとつです。広域型特養などの本体施設と連携を取りながら、本体施設から原則20分以内の場所で運営されます。
本体施設と適切に連携できる場合は、医師・栄養士・機能訓練指導員・介護支援専門員を置かなくてもよいなど、人員基準や設備基準が緩和されます。
単独型特別養護老人ホーム
地域密着型特養のひとつです。広域型特養などの本体施設と連携を取りながら、本体施設から原則20分以内の場所で運営されます。
ユニット型の居室タイプが多いところが特徴で、広域型特養よりも人員や設備基準が緩和されています。
地域サポート型特別養護老人ホーム
在宅介護を受けている高齢者に24時間・年中無休で見守りや援助を提供する特養です。
主なサービス内容としては、生活援助員による日中の巡回訪問や安否確認、夜間緊急時の看護師の派遣などです。
特養の居室タイプ
特養には、おもに従来型とユニット型の2種類があります。
従来型
昔からある従来型はひとつの部屋を2〜4人で利用する「従来型多床室」と、1人で利用する「従来型個室」があります。
介護スタッフの担当は決まっておらず、複数人で協力しながら入浴や食事、排泄の介助を行うことが基本となるため、施設全体で介護に取り組むイメージが強くなります。
ユニット型
従来型とは異なり、すべて個室で10室程度を1つのユニットとしてみなしております。
施設全体で介護に取り組む従来型とは違い、ユニットごとに専任担当が配置され、個別に介護を行うイメージが強くなります。
入所者が食事をとったり団欒したりする「共同生活室」があり、ユニットの入所者が交流し、食事のためのダイニングや談話スペースなどが用意されていることが一般的です。
入居者様のプライバシーを尊重し、家庭的な雰囲気の中で個別ケアを充実させることを目指したものとなります。
特別養護老人ホームで働く介護職の仕事内容
特養では、介護保険の施設サービス計画書に基づき、入浴や食事などの生活介助が主な業務です。2交代制または3交代制で業務にあたります。
基本的な生活介助に加え、健康管理や身体機能の維持など、看護職員やリハビリスタッフと協力しながら、入居者様のサポートをしていきます。
主な仕事内容は、身体介助(食事介助、入浴介助、排泄介助、移乗介助、体位変換、口腔ケア、清拭ケア、外出の付き添い)を中心に、健康管理や生活支援(掃除や洗濯、食事の準備や配膳、買い物)、緊急時の対応などがあります。
レクリエーションやイベントを企画して、楽しく生活してもらうのも特養で働く介護職員の仕事のひとつです。
特養は中重度以上の入所者の割合が大きいため、身体介助をするうえで体力が必要となる場面が比較的多くなります。
介護職員や看護職員がリハビリの指導もおこないます。また、看護職員を中心に看取りにも対応することがあります。
従来型とユニット型による違い
従来型では、大勢のスタッフで大勢の利用者さんをまとめてケアします。
シフトの調整がしやすいほか、業務内容がルーティン化されていることも多いため、仕事を覚えやすいメリットがあります。
ユニット型は1ユニット10人以下の利用者さんを限られたスタッフで担当するため、細やかなケアができる反面、介護スタッフ1人あたりの負担は大きくなります。
入所者一人ひとりに向き合った介護をしたい人にとっては、やりがいを感じられるでしょう。
特別養護老人ホームで働くメリット・デメリット
特養で働くメリット
- 介護度の高い人が多いため、介護技術の向上につながる
- 経験を積んだベテラン職員も多く、知識やスキルを自然と習得できる
- 終末ケアで終の棲家として利用する方も多く、長期的な介護ができる
特養で働くデメリット
- 介護度の高い利用者さんが多いため、身体的な負担が大きくなる
- 看取りも行うため、介護経験が少ない人にとっては精神的な負担がある
- 大規模施設の場合はケアが機械的・画一的になりやすい
特養は無資格でも働けるが条件は厳しい
特養では無資格でも働けますが、施設側からすると即戦力が欲しいのも事実です。
また、資格がないと入居者様の体に触れる身体介護(食事介助、排泄介助、入浴介助、口腔ケアなど)はできません。
特養では、要介護度が3以上の入居者様がほとんどで、寝たきりの方も少なくありませんので、身体介護が多い傾向になります。
そのため、無資格で介護職に挑戦したい方は、要介護者の体に触れない生活援助の仕事内容(リネン類の交換や清掃など)がおもな業務となります。
そういった仕事で介護の現場に慣れつつ、同時に資格取得も目指し働くのがいいでしょう。
身体介護ができるようにスキルアップしていくことで、介護職の楽しさもより経験できます。
特別養護老人ホームが向いている人
特養は身体介護がメインとなるため、まず体力に自信があることが基本となります。
看取りもあるため、精神的にもタフである人に向いているでしょう。
介護スキルを向上したい、認知症ケアを身につけたいという人にもおすすめの職場です。
また、利用者さんと長期的に深く関わることができ、じっくりと向き合えるケアを目指す人にも向いています。
最後に
ひとくちに特別養護老人ホームといっても、広域型や地域密着型、ユニット型や従来型などのさまざまな種類に細分化されています。
タイプによって介護のスタイルや職員同士の関わり方も異なるので、自分に合う働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
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